「サイドは埋まった」(広島 移籍加入途中経過の雑感)

 現時点で確定が1名(中林と大崎はすでに今季出場しており、厳密には新戦力とカウントしない)、濃厚が2名というところ。

流経大石川大徳http://www.sanfrecce.co.jp/news/release/?n=3351

川崎F山岸智http://news.kanaloco.jp/localnews/article/0912060021/

■福岡・田中佑昌http://www.nishinippon.co.jp/nsp/item/140101

 すべて確定すれば、の話だけど、山岸、田中、石川、いずれも弱点だったサイドへの補強。ピンポイントに、ポリバレントな選手を獲得している。突出した能力を持つミキッチボランチリベロを同レベルでこなした中島浩司という、今季なみの途中経過だと思う。

 こなせるポジションは、石川は両サイド、山岸も両サイド/シャドー、田中は右ウイング/シャドーか。既存のサイドに質量とも不足を感じていたのは誰の目にも明らかだったが、リ・ハンジェ楽山孝志を放出したのは、戦力確保にめどがたったからと解釈できる。山岸、田中とも入団濃厚と見て良いだろう。

 以下、ポジションごとに。

■1トップ
−−−−−−−−−−佐藤寿人−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−−(李忠成平繁龍一)−−−−−−−−−−−−

 寿人は絶対的な存在。それに対し平繁、李とも満足いく成果を残せていない。途中加入の李は「連携が熟成されていない」というエクスキューズがあるが、平繁には通用しない。明らかに補強ポイントといえる。

 ただ、寿人の1トップを続ける限り、「サブを受け入れる」選手しか補強できない。2トップと考えるならば、ポストプレーヤーがターゲットとなるはず。山形の長谷川悠あたりを狙ってほしい、と思っている。

■2シャドー
−−−−−−−−−−森崎浩−−−−−−−−高萩洋次郎−−−−−
−−(高柳一誠、李、耼田慎一朗、山岸、田中、大崎淳矢)−−−

 人材過多ぎみ。移籍濃厚となった柏木を外しても、これだけ候補がいる。ミキッチのシャドー起用というオプションも練習で試したことがあるはずで、これ以上補強は必要ない。

 と思っていたら、中国新聞にこんな記事がきた。

http://www.chugoku−np.co.jp/Sanfre/Sw200912110094.html
即戦力MF獲得へ 柏木移籍でクラブ方針 '09/12/11
 J1広島の織田強化部長は10日、移籍が濃厚なMF柏木陽介(21)に代わる、即戦力の攻撃的MFの獲得を目指していることを明らかにした。

 織田部長は「1人は実績のある選手を確保したい。予算の範囲でやりくりする」と話し、国内の複数の選手を候補に挙げているという。

 これまでに、来季J2に降格する大分の元日本代表MF金崎夢生(20)の獲得を申し入れたが、正式に断られた。

 また来季は、マッサージなどを担当するトレーナーを今季の5人から6人に増員。下部組織を含め、選手が体のケアをする環境を充実させる。(菊本孟)

 こちらを読む限り、チームは柏木抜きのシャドーに質的な限界を感じている、ということだろう。森崎浩や耼田の復帰では埋められない、と。断られたが、金崎夢生へのオファーはそういう文脈と解釈できる。

 シャドー/2トップの補強と考えると、国内の有力選手となると前述の山形の長谷川、古橋達弥、柏の大津祐樹、大分・家長昭博などが浮かぶ。

 しかし即戦力を求めるなら、思い切って外国人アタッカーを補強すべきではと思う。トルコ・キャンプでパルチザン・ベオグラードの10番を背負ったアルマミ・モレイラという選手は、広島をチンチンにしたそうなので、彼の情報などは集めていないだろうか、と思う。

 http://www.youtube.com/watch?v=mTJDqu98LOU

 逆に平繁、清水航平丸谷拓也あたりはレンタルでの放出が濃厚と思われる。丸谷には、ちびっ子が多い中で足元もあるポストプレーヤーとして期待しているので、どうにか頭角を現して欲しい。

■両サイド
服部公太−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−ミキッチ
(山岸、石川)−−−−−−−−−−−−(山岸、田中、石川)

 一気に層が厚くなった。新加入(見込み)の山岸、石川が両サイドをこなせ、槙野智章森脇良太が代わりを務める必要がなくなる。これは、今シーズンとの大きな違いだ。

 山岸については「サイドの得点力不足」解消を狙ったものだし、田中もその文脈に近いものと思われる。山岸は服部と競争し、田中は当面サブだろうという違いはある。

 ただ、動画を見る限り田中のスピードはハンパではなく、決定力も高い。サイドの控えというより、当面は「1点が欲しいときの駒」あるいは「逃げ切り用の駒」としても使える。これほどスピードある選手が終盤に出てくると、どんなDFでもイヤなはず。

17 名前:名無しさん@恐縮です[] 投稿日:2009/12/11(金) 17:41:38 id:FxmtQXDn0
福岡・田中を知らない人のための今期のゴール動画

vsC大阪、センターラインから1人で持ち込む
http://www.youtube.com/watch?v=M8mKf_2MLOU

2列目から。絶妙のボールコントロール
http://www.youtube.com/watch?v=oOZ7pp8oGNc

裏への抜け出して1試合2ゴール
http://www.youtube.com/watch?v=yojpC5OnZ24
http://www.youtube.com/watch?v=13TxSwr2ws4

 サイドに関しては、森脇も槙野も一応はこなせる。サイドの補強はこれで打ち止めか。駒野友一の復帰はならなかったが、リーグ戦を戦い抜く上ではまずまずの陣容になったと思う。

ボランチ
−−−−−−−森崎和幸−−−−−青山敏弘−−−−−−−−−−
−−(中島、高柳、高萩、横竹翔岡本知剛)−−−−−−−−−

 序盤は森崎和、終盤は青山の離脱に苦しんだ。とりわけ、青山の穴は、柏木以外は満足に埋めきれていない。その柏木は浦和への移籍が濃厚なので、青山がフル稼働できない試合は支配力・展開力が下がることを覚悟する必要がある。

 とはいえ、ストヤノフが出場できれば中島が当面は穴を埋める。一誠も洋次郎もこなせ、横竹や岡本も伸びてきた。とりわけ、岡本が徐々に出場機会を得てきたことは好材料。本来、U−20世代でもトップレベルの素材。森崎和の後継者であり、彼が森崎和と並び立てば、青山とはまた違ったサッカーが展開できると思う。

■3バック
−−−−−−−−−槙野−−−−ストヤノフ−−−−森脇−−−−−
−−(盛田剛平、横竹)(中島、森崎和、岡本)(槙野、横竹)−−

 まずリベロ。実質、ストヤノフの代わりはいない。補強しようにも、「ストヤノフのサブ」と言う位置づけでくる実力者はいない。フル稼働できない場合は、今季同様に中島と森崎和でしのぐしかない。悩ましいところだが、代わりの利かない選手だけに仕方がない。

 両CBについては、盛田・横竹しかバックアップがいない。橋内・篠原は出場記録を見ても、とても戦力としては計算できない。最低でも1人は補強が必要だと思う。実際、動いてはいるはずだけど。

■GK
−−−−−−−中林洋次−−−−−−−−−−−
−−(下田崇佐藤昭大原裕太郎)−−−−

 中林完全移籍は、まあ既定路線なので補強というべきかは疑問。確かにうれしいけどね。

 やはり、層の厚みに疑問がある。下田は2シーズン出場がないし、佐藤昭は天皇杯で非常な不安定ぶりを見せた。原はまだ経験不足。すなわち、中林が負傷した場合は大幅に戦力がダウンする。

 ここも補強ポイント。ただ、GKは特殊なポジション(1人しか出場できない)であり、サブを受け入れる選手となると、例えば戦力外となったベテラン選手あたりだろう。退団したが、木寺浩一(現金沢)などはそうした選手だった。

 その文脈でいくと、柏を退団した南雄太は獲得候補に挙げて良いと思う。確かに足元は微妙だが、では下田や佐藤昭が万全なのかといえば、そうでもないだろう。ゴールセービングに関していえば、両者より南のほうが上だと思う。

 足元は、広島の特徴である鳥かご猛特訓で向上する。盛田や服部というO−30組も、確実に足元の技術は向上した。南が加入しても、サブで調整を続けながら伸びることは可能だろう。声を掛けてほしい。
 

■まとめ
 補強ポイントは優先順位からGK、CB、シャドー、1トップの順か。サイドは埋まったし、個人的にはシャドーも優先順位は低いが、この4ポジションが残りの補強ポイント。

 具体的な選手名を挙げると、GKに前柏の南、DFに柏の小林祐三近藤直也あたり、シャドーに新外国人、1トップに山形の長谷川、2トップ候補で山形の古橋かなと。
 
 引き続き成り行きを見守りたい。